小次郎 ボクシングチャンピオンへの道

小次郎 ボクシングチャンピオンへの道

フルコンタクト空手で日本一を目指してたけど叶わなかったんで高校からボクシングでチャンピオンを目指す物語

ボクシング始めて半年、高校入って入部してから2ヶ月経過した。



すっかりボクサーになったイテオンクラスか脱北兵の様な頭のこの男、チビスケだった息子も父親の身長を越え、178cmくらいなったかな。

ナチュラル60kgはキープしてるから、今のままならライト級かな。

まぁ、得意の減量してバンタムでもいーけど。


手探りでやっていた家練も、一緒にスパーしながら覚えるせいか大分板についてきた。

言うまでもないが基本はジャブとワンツーをみっちり。




空手とボクシングを重ねてみて、

ボクシングの方が奥が深いとかそういった感覚ではなくなってきていて、何をどうして良いのかわからないのは

やることが沢山あり過ぎるのと、スタイルが決まってなかったからというのに気付いた。

当然スタイルさえ決まればやることも厳選され、それに打ち込むことが出来る。


最近やっと息子にあったそのスタイルが見つかりつつあった。


やることは確かに山程ある。

スタミナ

打ち方

コンビネーション

ディフェンス

ステップ

ect、、、


言い出したらキリがないけど、空手みたいに何が重要かとか、うちで言うFみたいなもんはボクシングには無い。


フルコンは打たれ強さとスタミナさえあれば先ず、勝てなくても闘いに負けることはなかったけど、

アマボクシングの場合手数やクリーンヒットのポイントなもんで、フルコンで培った打たれ強さはボディのみ

要は効かせられてなくても負けてしまう。


特に顔面のディフェンスなんかは腹の耐久練習と違い

打たれ強くすることなんか無理だし

そして何より、怖いんだわな顔面だけはメッチャ。


うち方式でこれをどうクリアしていくか、

それこそフルコン練習で構築してきたノウハウを、耐久ではなく脳で恐怖心をいかに克服出来るかが鍵になっていた。


わたしは散々小次郎と空手やってきて、

反復で動かす方法と多少の心理面においては、親なんで何とか理解してきたつもりでいた。


ただ、試合に対してとは違う顔面パンチへの恐怖心は、

何をどうして行けば良いのかがわからなかった。

沢山スパーしてれば慣れるってのはわかるんだけどそういう問題じゃなくて、

2年半しかないこの期間で日本一にしなければならないとなれば、近道しざるを得ないわけで。


色々試した。

一番は、脳に勘違いという耐性を付けることなんだけど、

殴られ慣れたから怖くなくなったじゃあダメなんです。

それは一時的な克服でもあるし、アドレナリンが左右してしまうから自分の技術で何とか出来るもの、

いつなん時もこれがあるから顔面狙われても安心ってやつを見つけたかった。


単純に打ち終わりのカウンターが怖いから打てない、

入れない、

基本的にはそこね。

じゃあ手数を増やす?

攻撃し続ければ打たれることもない?

かわす?


そんな基本中の基本はわかってる。


で、それはボクサーとして当然やらなきいけない必須練習だとして、そうではないもっと根本の、自分だけにとって

必要な絶対的な何か。


つい昨日の話だけど、ちょこっと見えたかも。


打つのと守るの、どっちが怖いんだって話。

間合いに入れないのはそこ。


守るのが怖いのはそもそもボクシングやめた方いーかもね(笑)


打ちたいけど打つのが怖い

打ったらカウンターか、下手な相手なら被弾して打たれる

かもしれない。


であれば、打ちやすい場所より打たれても返しやすい場所に常に立つこと。


どこからパンチが飛んでくるか予想出来ない今のレベルであれば尚更、

打った後や詰められた時に自分のポジショニングがどこにあればそれを回避できるのかを知ること

リーチだなんだってのはもっと先の段階かなぁって


カウンターが怖いから初めからこちらもその先のカウンターを考えて動くなんてナンセンスであり

それは上級者レベルがやることであって、

今小次郎のボクシングに必要なことは、

現時点の自分が出来る最大限の動きと予想を立てること、かなぁと思う。


高々ボクシング歴2ヶ月の奴が背伸びして

こう来たらこうとか自分が出来ない動きを相手に予測したって対応出来るはずもなく、

今練習している動きの中で出来る事をやり、

それを1つずつ増やしていく。

パターンも、動きも、全部。


そうしていく内に、やってないのだからそのパンチ、

貰ってもしょうがないという脳に切り替える

だって、予測も出来てないのだから。

予測も出来て尚且つ自分の動きのミスや気を抜いたことで貰ったパンチなら、それはダイレクトに脳に恐怖心として刻まれる

だってそれは、予測していたのだから。


恐怖心はきっと、こうなったらどーしようから発動するものでありその逆の、

いわゆる予測不能だったものについては、恐怖心ではなく経験値として危機管理が備わる。

想像が出来るシチュエーション程怖いものはない。


隙があるから打ち返されるし、打ちっぱなしだからその後打たれる。

後手後手にならず、将棋の様にその先の先まで、

初めは1つのパターンから増やしていき、

フルコンみたいにザックリではなくパターンを1つ1つ完璧にして次のステップへいく。


そして、ジャブの手はいつでも顔面を守れる状態にしておく攻防一体の構え。

打ちながら守るではなく、守り手で打つ感覚。


守れる自信があるから打てる、それだけジャブの手は色んな仕事を一手に引き受けてくれる。


サウスポーの小次郎は本来右利き。

フルコン間合いでの右パンチと蹴りが下手すぎるからと

小3でサウスポーに変えて以来、効かせる必殺は左でやってきたけど、

人間咄嗟に危険回避する際、利き手を出すのが普通。


オーソドックス(右構え)であれば、リードジャブは基本左手になるが、利き手でない手を攻防一体自在に動かすには長期での練習を必要とするが、

サウスポー(左構え)で利き手の右が使えるとなると、

反応や反射、全てにおいて有利なのだ。


間合いを掴む、フェイントをかける、ジャブ、ガード、

フック、これら以外にも様々な仕事を右手一本にやってもらう。

この利き手を自在に使えるようになった時初めて、

小次郎の頭から顔面パンチへの恐怖心はすっかり消えてなくなるだろう。


ボクシングが楽しい。


練習中、毎日2人でそう言い合いながらスパーのROUNDを重ねて行く。


シャドーで全ての動きを確認し、

ミット打ちでパンチの精度とパターン、コンビネーション、自身の攻撃間合いやリーチを確かめ、

マススパー(20%くらいでやるスパーリング)でシミュレーションして試す


それ以外にも勿論、ロードワーク、縄跳びやフィジカル、ラダー、ダッキング、ウィービング、ブロッキング、パーリング、サンドバッグなど、やることは山程あるけどそれも、フルコン時代たっぷり9年間叩き込んであるんで、

基礎トレを小次郎は涼しい顔でこなしてりいる。

むしろそこが休憩くらいの気持ちで。


小次郎の練習量は間違いなく日本一だった。

大袈裟なんかじゃない

だからこそ今ボクシングをする上で、

何のロスもなくこうして技術に打ち込める。


そしてフルコン時代、小次郎最高のライバルが東北で、

ボクサーとしてカムバックしたと聞き、家族全員が歓喜したのだった。


リュウ、インターハイで待ってるからな。