宇宙船のパイロットだった。

 

マチルダによると、エアルは口と呼べる器官は存在しない。

 

そのため話すこと自体が出来ない。エアルのコミュニケーションは

 

全てテレパシーによるものだった。

 

そして、マチルダだけがエアルとテレパシーでコミュニケーション

 

が取れた。といっても、マチルダにそのような特殊能力があった

 

訳ではない。エアルと会うまでは、マチルダにそのような経験は

 

一度もなかった。

 

エアルのテレパシーは余りにも抽象的だった、感情や印象は理解

 

できたもの、エアルの思考を言葉に変換することは極めて困難

 

だった。そのためマチルダの報告も曖昧なものが多かった。

 

そこで軍はエアルに英語の習得を提案する。エアルもそれに同意

 

した。様々な参考書がエアルに与えられたが、エアルは文字を読む

 

よりも百科事典のような、絵が描かれてる本を好んだ。

 

技術的な本よりも歴史や考古学に関する本を好んだ。

 

特に文学に興味を示し、不思議の国のアリスやドンキ・ホーテが面

 

白かったようだ。

 

このようにして、エアルは非常に短期間に英語を習得した。