NHK新会長として元みずほフィナンシャルグループ社長の前田晃伸氏が1月25日に就任した。政治との距離について「権力が報道機関に批判されるのは当然」と公共放送のトップらしい発言をしたが、解決すべき課題はほかにもたくさんあることを認識してほしい。
いま、ここに至ってNHKを取り巻く最大の病理は番組内容かもしれない。
それは政治的に偏っているとかいう話ではない。国民の受信料で成り立つ公共放送としてふさわしい番組内容・演出手法であるかどうかのチェックがきかなくなってきているのである。
たとえば、1月10日に総合テレビで午後10時から放送された「まるごとSTAR WARS」は、公開中の映画の単なる宣伝番組でしかなかった。スポンサー収入で成り立つ民放とちがい、NHKは特定企業・団体の宣伝につながるような番組構成は避けてきたはずだ。それが何の工夫もないまま、人気シリーズの魅力が紹介されるだけだった。
番組の民放化が叫ばれて久しいNHKだが、これは民放でもやらないような「よいしょ」番組だった。映画を作ったディズニーから資金援助でも受けたのではと疑いたくなってしまう。民放キー局の連結決算をはるかに超える年間7000憶円もの受信料収入が黙っていても入ってくることから、公共放送の意義やそのためのコスト感覚といったものが、制作サイド、編成サイドともにマヒしているとしか思えない。「STAR WARS」シリーズの良しあしは全く別として、こんな番組が最終的に放送されたことは、受信料を負担する私たちを愚弄しているとしか思えない。
前田氏は「良い番組」こそが公共放送として生き残る条件、というような発言をした。だったらまずは、今回放送された「まるごと」をまるごと見てほしいものである。それが会長としての最初の仕事ではないか。そこに深刻な病理を感じ取ってほしいものである。