サイレントヒルって面白かったなあ。

プレステの方ね。映画じゃなくって。

 

いや、映画は観ていないんで、映画のほうも面白いかもしれんが。

自分が好きだったのはプレステⅡの「サイレントヒル2」

20代の頃のある時期、毎日のようにやってたわ。

 

アメリカ(?)の田舎町「サイレントヒル」で、

ある寂しい男が、亡くなった妻を探しまわるというもの。

 

ゲームなんだけど、全編になんとも言えない独特の雰囲気が

漂っていて、上質な小説を読んでいる感じだった。

 

喪失感。

それは誰もがいつかは苛まれる感情です。

失ったもの、去っていったものへの想い。

求めても決して再び手に入れることはできない、それは分かっている。

でも分かればわかるほど、それを追い求めてしまう。

場合によってはそれに拘り、固執し、執拗に追及する。

自分を見失い、破滅させるほどに。

 

コルンゴルト作曲「死の都」もまさに喪失感がテーマのオペラです。

 

ですから大切な人と別れたり、失ってしまった後でこのオペラを観ると、

しなくてもいいシンクロを起こして余計に辛くなります。

 

ただ最終的にはスッキリはしないものの、主人公の男は

そうした絶望から脱し、新たな道を見るところで終わります。

 

しかしその「新たな道」が生への道なのか、それとも死へ向かうのかは

見る人の解釈次第です。

 

だからなんかスッキリしない。

余計に落ち込むかも。

 

音楽は、それはそれは饒舌に語りかけます。

饒舌過ぎるくらい。もう音の洪水。

 

有名なのは「マリエッタの唄」と呼ばれる部分。

甘美、というだけでは表現できない、なんとも言えない空気感がある曲。

歌詞も歌われるシチュエーションも、特に悲しいものではないのに、

聞くと必ず泣いてしまう。

 

実はこのオペラを知ったきっかけはこの曲です。

 

むかーし昔、「アリア」というオムニパス映画があって、

色んなオペラの有名な部分の曲と、それに合った独自の

映像を数名の名監督が創造し、並べた一片なんだけど、

その中にこの死の都のマリエッタの唄があった。

 

その時の映像はオペラ本編とは何の関連もないもの

だったんだけど、夢のような美しい映像がこの曲に合っていて

それはそれでいい作品です。

 

DVDとか売り出されているみたいだから興味あったら観てみて。

 

オペラの方に戻って、このマリエッタの唄以外にも

いろんな聞きどころがあるのですが、とにかく疲れる。

長い。

あと質量が重い。

 

万人向けとは言えないし、ましてやオペラ初めてって人には

絶対勧められない作品です。

 

でも長い人生の中の4時間くらい、このオペラ鑑賞に使っても

いいのかも。

4時間長く感じるけど。

 

カルメンや椿姫がハンバーグセットなら、

死の都はサムゲタンくらいかな。

頻度としては。