とにかく戦うオペラ。

 

まずは自分との戦い。わけわかんね、って言ったら負け。

そんなオペラ。

 

絶対負けたくないから、すっごい面白いと言うものの、

正直わけわかんない。

 

でも負けたくないから言います。

 

これまでいろんなオペラ観てきたけど、最高傑作。

 

存在は中学生の頃から知ってたけど、なんか難しそう

って思って、以来40年くらい観てなかったけど、

観てみたら、まあなんと言うことでしょう。

 

わけわかんない

 

でもね、とにかくみんな戦っているんですよ。

 

男は女と戦う。

女も男と戦う。

 

神は人と戦う。

人は神と戦う。

 

お嬢様は乳母と戦う。

乳母は権威と戦う。

 

貧乏どん底の底辺連中は高尚無垢な天人と戦う。

理性は性欲と戦い、過去は現在と戦う。

 

そして音楽的にも戦っています。

 

オケは声楽と戦い、高音は低音部と、弦はラッパと戦う。

 

しかし、このオペラのすごいところは、戦いながら皆が抱き合っているとこ。

殴り合いながら、互いを求め、抱き合い、絡み合い、求め合い、そして傷つけあう。

 

もうね、指揮者は大変だろうなって。

だって指揮者とソリストも相当戦っているはず。

 

こんなオペラは他にはないと思う。

 

同じリヒャルト シュトラウスでも、ね。

ばらの騎士は抱き合うばかりだし、エレクトラは殴り合いばかり。

 

互いに噛みつきあい、流血し、髪を振り乱し苦しめあい、

汗まみれ、体液まみれになりながら、しかし最後に残るのは愛と調和。

 

実際に舞台を観れば、おそらく演者と観客も戦うことになる。

 

今度、二期会の公演があるんで聞きに行きます。

 

それにしても、

「まだ起きていないことを言ってしまいました」

「生まれて来なかった子どもの声」

とかって、なんて心に響くフレーズなんだろ。

 

人にはだれでも影がある。

影は黒くて暗い。

でも影のない女は不幸。

人は影があるから生きていける。