こんにちは

広島大学病院乳腺外科の角舎です

急に寒くなってきて、医局にもようやく暖房が入るようになりました

季節の変わり目にご注意下さいね

さて、今日は乳がんの研究のお話しをします

これは何かおわかりですか？

えっ？乳がん幹細胞？

何で分かったの？？？

って・・・

タイトルに書いてありますがな～

そうです

これは乳がん幹細胞なのです

当科の患者さんに同意をいただいて生検したものの一部をそのまま細かく分解して培養するのですが、特別な方法だと通常の乳がん細胞（幹細胞以外）は育たず乳がん幹細胞だけがこのように球体（スフェア）を形成して育つのです

ところで、どうして乳がん幹細胞が重要なのか？

それは、乳がん幹細胞が元になっていろんなタイプの乳がん細胞を作り出すからなんですね

乳がん幹細胞の特徴は

（１）増殖は比較的遅い

（２）薬剤の効果が少ない　これ重要！

（３）細胞数が少数でも転移することができる

ということです。

上の図のように、ほとんどの乳がん細胞が薬で死滅しても、乳がん幹細胞は残っていて、再び増殖してきます

ですから、乳がん治療の真のターゲットはこの乳がん幹細胞なのです

現在、末岡先生（昨年まで大学病院にいて、現在は大学院生）がこの研究を行っていて、患者さんの乳がん組織から乳がん幹細胞を選択培養することに成功しています。これは国内でも数少ない施設です。

この細胞を使って薬剤感受性テストを行えば、患者さんに投与する前に効果があるかどうかわかりますよね

新しい治療として夢が膨らみます

乳がん幹細胞とは？ 乳がん細胞の最初の1個