こんばんは!8月も中旬になりました...受験生の皆さんはいかがおすごしでしょうか?

ずっと塾に通っている方もいれば高校やカフェ、図書館など自分の好きな場所で勉強に励んでいる方もいると思います。その一方で、思ったよりも勉強進まないっていう方もいらっしゃると思います。気持ちを引き締めるのは難しいかもしれませんが、なにか自分の志望校に関係があるものをみてやる気をだすっていうのも一つの手だと思います。もしその1つのツールにボート部の受験生応援ブログやYouTubeを選んでいただけたなら嬉しいです!

 

さて、今日は2年MG癸生川による過去問解説数学編です!

最初に解いてからぜひお手元の過去問解説とともに読んでみてください!

受験生(2年前に受験生としてその問題を過去問として解いていた先輩)視点の解説なのでほかの解説とは違う視点が手に入ると思います!それではどうぞ!

 

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おはようございます。
2年経済学部の癸生川です。これで「けぶかわ」って読みます。

今回は数学の過去問解説です。めっちゃ長くなっても嫌なので、とりあえず最近の入試の大問1を引っ張ってきました。
できるだけ数学が苦手な人にもわかるように、解くときの考え方とかを多めにしたつもりです。少しでも参考になったら嬉しいです。


2018年度 前期 第1問

正の整数nの各位の数の和をS(n)で表す。たとえば
    S(3)=3,  S(10)=1+0=1,  S(516)=5+1+6=12 である。
(1) n≧10000のとき、不等式n>30S(n)+2018を示せ。
(2) n=30S (n)+2018を満たすnを求めよ。


高頻度で出題される年度が登場する問題です。大問1の中では標準的な難易度だと思います。
この問題では使いませんが、受験年度の素因数分解を覚えておいて損はありません。来年の入試は2023年度入試なので、2023=7×17×17です。

さて、(1)から考えていこうとするんですが、不等式をどうやって証明すればいいのか、あまりはっきりしません。
不等式評価の問題なので、とりあえずS(n)の最大値・最小値とか、そのあたりを考えてみることにします。たとえばS (n)の最大値がわかったら、n> (30S (n)+2018)の最大値≧30S(n)+2018、という三段論法みたいな証明ができるかもしれないからです。最大値がわかったらラッキーだなーくらいの感覚でS(n)をn=1から具体的に書き出してみると、1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 2, 3, …となります。もちろん最大値は出てきませんが、nに「9」が含まれるときにS(n)は大きくなって、逆にnに「0」が含まれるときにS(n)は小さくなるようです。
そこからS(n)の最大値を考えてみると、n=999…9のときにS(n)=9×(桁数)で最大なのかな?と考えられます。最小値はn=1, 10, 100…のときで、S(n)=1になるのがわかると思います。
なんとなく、桁数が絡んできそうな雰囲気がありますね。桁数が無制限だと分かりづらいので、ひとまず固定して、特定の桁数について考えることにします。
不等式の右辺の最大値は30×9×(桁数)=270×(桁数)となります。左辺の最小値についても右辺と同じように桁数の視点から考えると、特定の桁数(5桁とか7桁とか)に対する左辺の最小値は10^(桁数-1)だとわかります(5桁だったら10^4=10000、7桁だったら10^6=1000000)。

ここまで(桁数)と書いてきましたが、数学っぽく文字(m)で表すと、左辺の最小値は10^(m-1)、右辺の最大値は270m+2018となります。
そして、n≧10^(m-1)、270m+2018≧30S(n)+2018ということから、(n≧)10^(m-1)>270m+2018(≧30S (n)+2018)を示せばいいことがわかります。なお、n≧10000なので、m≧5であることには気を付けないといけません。
要するに、m≧5のすべてのmについて、10^(m-1)>270m+2018をだと示せれば証明完了です。証明方法には、数学的帰納法が使えそうですね。

帰納法の使い方は基本ですが、この問題なら
 (ⅰ)m=5で成り立つことを示す
 (ⅱ)m=kで成立すると仮定し、m=k+1でも成り立つことを示す、となります。
(ⅰ)は代入するだけなので割愛して、(ⅱ)を考えます。
m=kのとき、10^(k-1)>270k+2018が成立すると仮定しています。m=k+1のとき、つまり10^k>270(k+1)+2018を示せれば証明完了です。ここで行き詰まる人もいるかもしれませんが、帰納法の大半はm=kの場合を利用すればなんとかなります。
m=k+1の場合の不等式を展開すると、左辺は10^k=10×10^(k-1)、右辺は270(k+1)+2018=270k+2288、です。ここで、左辺は×10されているのに対して、右辺は+270されているだけということに気づけたら完璧です。左辺の「増え幅」のほうが大きく、mが大きくなるごとに、左辺の右辺の差がどんどん広がっていくってことです。
ということで、それを確かめるために、m=k→m=k+1をするときに、右辺も左辺と同じくらい増やしてみようと思います。と言ってもわかりづらいと思いますが、単純にm=kのときの両辺を10倍するだけです。さっきも言いましたが、m=k→m=k+1で左辺は10倍されるからです。やってみると、10×10^(k-1)>10×(270k+2018)=2700k+20180となり、右辺が明らかに270k+2288より大きいことがわかります。
ここまでを整理します。
m=kのとき、10^(k-1)>270k+2018を仮定します。
両辺を10倍すると10^k>2700k+20180となり、2700k+20180>270k+2288なので、10^k>2700k+20180>270k+2288=270(k+1)+2018となります。
以上から、m=k+1のときに10^k>270(k+1)+2018が成立することが示されました。
ということで、数学的帰納法から、m≧5に対して10^(m-1)>270m+2018が証明できました。
どうしてここまでしてこの不等式を証明したかったのかというと、n≧10^(m-1)と270m+2018≧30S(n)+2018があったからです。これらを組み合わせると、n≧10000のときn≧10^(m-1)>270m+2018≧30S (n)+2018となり、n>30S(n)+2018が示せることになります。

こんな感じで(1)が証明できました。長かったですが(2)もあるので、(2)にいきます。

そんな(2)ですが、(1)から繋がってる感が満載です。n≧10000のときn>30S(n)+2018なんだから、n=30S(n)+2018となるのはn≦9999のときだということがわかります。
求めるnが4桁以下だということがわかったので、nを具体的に文字でおいて、計算を頑張れば解けそうな感じがします。
たとえば1000の位をa、100の位をb、10の位をc、1の位をdとかおくと、nは「abcd」と表せます。数式で書くなら、n=1000a+100b+10c+dです。こうするメリットは、S(n)=a+b+c+dと表せることにあります。
要するに、n=30S(n)+2018という式を、1000a+100b+10c+d=30(a+b+c+d)+2018という式に変形できるよ!ってことです。
「あんま変わってなくね?」と思うかもしれませんが、a~dはそれぞれの位の数、すべて0以上9以下の整数です。それぞれ10パターンずつしかないので、頑張ればすぐに絞り込むことができます。
まず両辺に着目するとわかるのが、dと2018以外は全部10の倍数だということです。両辺の1の位を合わせるためにdは8になるしかないので、d=8がわかります。
d=8を代入すると、1000a+100b+10c+8=30(a+b+c+8)+2018となります。少し整理すると、1000a+100b+10c=30(a+b+c)+2250です。両辺を10で割ってからaとbを左辺に移行すると、97a+7b=2c+225となります。
ここで行き詰まるかもしれませんが、(2)の最初のほうに言った「a~dはすべて0以上9以下の整数」を思い出すと、a=2ということがわかります。これはa=0からa=9まで入れていったとき、bとcが0~9に収まるのがa=2のときだけだからです。全部代入するのは割愛して、試しにa=2とa=3のときだけやってみます。
a=2のとき、194+7b=2c+225→7b=2c+31となります。b, cともに0~9の解を持ちそうなのは感覚的に理解できると思います(たとえばb=5, c=2とか)。
一方でa=3のとき、291+7b=2c+225→7b+67=2cとなり、この解はcが30以上になってしまいます。「abcd」という4桁以下の数に、いきなりc=30なんて入れることはできないので、a=3は不適です。他の数についても同様に、bとcのどちらかが2桁以上の数になってしまいます。
a=2もわかったので、解く式はさっきも書いた、7b=2c+31になります。ここまできたらbに全部代入して条件(0以上9以下の整数)に適したcを求めるとか、答えが出ればなんでもいいと思います。計算すると、b=5, c=2とb=7, c=9が求められます。

以上から、a=2, b=5, c=2, d=8とa=2, b=7, c=9, d=8がa~dの組になります。
「abcd」の形に直すと、2528と2798です。よって、n=2528, 2798が答えです。

こんな感じです。余裕だった人も難しかった人もいると思います。

難しかった人にとっては、「そんなのわかんねーよ!」って感じだったかもしれません。
そんな人は、まず「問題でなにが問われているか」を考えてみましょう。なにを求めればいいのかとか、なにを示せばいいのかとか、そういうやつです。
それができたら、次のフェーズは「答えのためにはなにがわかればいいか」です。今回の問題でいえば、(1)の最初のほうで書いたような部分です。決して答案に書ける形にする必要はないので、自分でわかるように、自分がわかる範囲で考えられるといいと思います。
そして最後の段階が「使うツールを決める」ことです。今回の問題でいえば、(1)で桁数を文字でおいて帰納法を使ったり、(2)で両辺を10倍したり、といった部分です。「公式の使い方」なんて言い方をされるのもここだと思います。
これらは段階が上がるにつれて経験への依存度が高まっていきます。やったもん勝ちな面も否めません。行き詰まったらとりあえず答えを見て、似たような問題を相手にその方法が使えるか試す、なんて感じで全然問題ありません。自分がどの段階にいるか確かめてみてください。

ここまでだらだら書いてきましたが、あわよくばこれを見てるみなさんのためになる部分があったらいいなーと思っています。
数学は確かに地頭勝負なところもありますが、しっかり段階を踏み、経験を積んでいけば全然なんとかなります。ぜひ、頑張ってみてください!

 

▼▼夏といえば...!ボート部だと寮の屋上で花火できます!

 

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ありがとう!

私は本当に数学が苦手だったからこういう解説欲しかったな切実に!

 

次は1年漕手の奥くんです!がしがし漕いで最近ちょっとたくましくなった気がします...!

いつもはぽわぽわした感じの彼による【新入生の行事紹介体育祭編】です!来週火曜日20時お楽しみに~~!