小簱紹介ありがとう!
確かにゼミで本はたくさん読んでるけど、基本新書なので学問学問はしてないけど、割と真面目な本ばかりなので、そこで特にお勧めするような本はないかなぁ…(面白い本はいっぱいあるけど!!)
なので、普通に趣味で読んでた本の中で、良かったなと言う本を1冊。
それは、『歩くような速さで』という本です。2013年に初版発行された、映画監督の是枝裕和さんが書かれたエッセイ集です。
もともと是枝監督の『映画を撮りながら考えたこと』という本を買おうと思ってたら、その本が本屋になくて、(仕方なく)たまたまあったその本を買ったんですが、買って良かった。是枝監督の社会を捉える切り口や映画に対する姿勢、根本の考え方が垣間見えるとっても内容の濃いものなんですが、エッセイなので気軽に読めてしまうというのがいいですね。
是枝監督は最近もまたカンヌ国際映画祭で話題になってたりしたので、これまでの是枝作品も観て、その上で読んでみるとかなり面白いと思います。
さて、今回は真面目な話でもしようかなぁと思ったのですが、柄でもないのでまずは最近観た映画の話から。(引き出しないですね、、、)
僕はこの前、といってもかなり前ですが、『ドライブ・マイ・カー』という映画を観ました。濱口竜介さん監督の作品で、アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞したことでも話題になったので、知っている人も多いかと思います。
どんな話かと一言でいうにはもったいないくらいの映画です。なので、ここであえてあらすじなどを説明することは省きますが、いやぁ凄かった。
専門家?評論家?でも何でもないですが、映画としてのクオリティが高いことは素人めでも分かります。構成、配役、台詞回し、カメラワークどれをとっても本当に凄い。(映画を観た後で原作も読んだのですが、原作の雰囲気をうまく抽出したうえで、"濱口竜介フィルター"を通し、映画として再構築しています。ちなみに、村上春樹作品が苦手な人はテーマ性を理解するとスッと入ってくるのかなと思うので、テーマ性が際立っているこの映画は村上作品へのリハビリ?入門?的な立ち位置になると思います。)
映画の内容は当時の僕にはドストライクで、自分の考え方や生き方を見直すきっかけになりました。
映画の中にこんなセリフがあります。
「僕は正しく傷つくべきだった」
この映画を観ていない人は、「正しく傷つく」って何だ?となると思います。
僕たちは無意識のうちにとても社会化されてしまっているんです。決してそれは悪いことではないと思います。社会の中で、"うまく"生きていくにはそういったことは必ず必要です。
しかし、「社会化された自分」と並行して、「社会化しえない自分」というものが必ず存在します。僕らは、常に外的環境からさまざまな期待や要請を受け、それに応じて行動しなくてはなりません。その際我々は社会的にあるべき自分の仮面(ペルソナなんて言ったりしますが)を必要とするわけです。そうして、「社会化しえない自分」を押さえ込んで、その場において適切な振る舞いをするのです。
しかし、そのペルソナが硬化しすぎると、その人は「社会化しえない自分」を見失い、人間としての味を失ってしまうのです。
人間が人間らしくあるために、いかにしてこの「社会化しえない自分」と向き合うかということはとても重要なことであるように思います。
個人的には、多くの(ほとんど全てと言ってもいい)トラブルはこの「社会化しえない自分」に起因すると思います。当然ボート部で起こるあらゆる問題や悩みのようなものもまた例外では無いと思います。
本気で取り組むというのは、極論それをしている自分が全てになる(「全てにする」と言った方が正しいのかもしれない)ということとほぼ同義だと思います。そうなると、「〇〇したければ、〇〇すべき」、「○○するために、〇〇しなければならない」というような制約が無数にかかってきます。しかし、人間どこかのタイミングでそうした制約に反発する「社会化しえない自分」というものがひょっこり顔を出してきます。ふとした瞬間に出ることもあれば、調子の上下によって出ることもあります。その中で意識的に抑えられる時もあれば、どうしても抑えられない時もあります。
一体僕たちはこれにどう対処すればいいのでしょう。全く難しい問題です。
あいにく明確な答えは持ち合わせていませんが、間違いなく言えるのは「その都度そうした事実に向き合い、受け止める」ということではないでしょうか。
これが、映画の中の
「僕は正しく傷つくべきだった」
というセリフで表現されているのではないでしょうか。
一橋大学ボート部は、本気で日本一を目指す集団です。
であればこそ、やらなくてはならないことがあります。求めれられるものがあります。
それらをやるのは当然として、その中でいかに"自分らしく"取り組むかというのがとっても大事なことなように思います。
そして真に"楽しい"団体であればいいなぁと、最近つくづく思うんです。
だからこそ、そのために必要な捌け口は各自用意しておきましょうね。
4-H 中新田哲
次はゆうかです。
艇庫で目が合うと、笑ってくれます。結構嬉しいです。
前話してたプレゼン楽しみに待ってるんだけどまだですか??(覚えてる?笑)