いよいよインカレが目前に迫ってきました。
続々と地方の大学が戸田入りをしはじめ、今年も暑い熱い夏が始まろうとしています。

私にとっては3回目のインカレです。
今シーズン最大の目標は「このチームを日本一にする」こと。



チームの一員として「日本一」を目指すのにちょうど2年かかった。
そこから「日本一」を目指せる時間は、1年と3ヶ月しか残されていなかった。


マネージャーが「日本一」を目指すということ。
正直今でも頭では理解できない。

自分たちがどんなに頑張ろうが、日本一をダイレクトに目指し、達成するのはあくまでプレイヤーであり、極論を言えば自分たちが目指したところでどうにかなる目標ではない。

いろんな先輩からたくさんの見方、考え方を聞いてきたけれども、どれも自分には綺麗事にしか聞こえなくて、しっくりもこなかった。



目標設定シートの1番上の欄は、いつだって最後まで埋まらなかった。
自分が日本一を掲げることに引け目があった。

私は先輩や同期、後輩と話すのが楽しいから部活を続けてきたと言っても過言ではない。
ようは「楽しさ」だけでやってきた。
そんなハードワークも辛い思いもしていない自分が、「日本一」なんていう途方も無い目標を掲げていいとは思えなかった。
形だけでもとりあえず書いておく、ということにすら抵抗があった。

「日本一」を本気で目指す人に、失礼だと痛感していたからだ。



そんな卑屈で斜に構えた自分が、スッと心の中で「自分も日本一を目指したい」と思えたきっかけは、意外なところにあった。



この数か月、自分についてじっくり考える機会に恵まれました。

私がこの部でするべきこと、できること、やりたいこと。
ここにいる理由、マネージャーを選んだ理由。

学年ミーティングやプライベートでもちょうど似たような内容を並行して話し合っていて、目標設定シートを書くためにもめいいっぱい考えた。

考えれば考えるほど深みにはまっていった。
時間も人員も限られた中で、チームのために自分が目標として掲げるべきことは何か。
その行動を起こす根源は。
どんなにつらいことがあろうとも、絶対にこのチームを辞めるということだけはしない、と今までの私を突き動かしてきたものは何なのか。


そんなとき、たまたまパソコンを開いて見つけた一枚の写真がある。


2016年のインカレ、私自身が撮った写真だ。


男子舵手無しペア優勝の表彰式。
プレゼンターは日の丸色のスーツに身を包んだ中野紘志先輩で、式手伝いには一橋の女子マネージャーが付いていた。

メダルをかけられる瞬間にシャッターを切った私は、まだボートを1ミリもしらない1年生だった。なんならペアの二人の先輩の名前すらうろ覚えだったと思う。

この景色がどれだけ輝かしくて、誇らしいものか。
私はその価値をわかっていなかった。


それでも確かに私は感動した。
文字通り胸が熱くなるのを感じた。

ボートも選手のことも知らない私でも、うれしさのあまり飛び跳ねていたと思う。



久しぶりに目にしたその写真は、それらすべてを想起させた。



あの夏の景色を、もう一度見たい。

心躍るような喜びを、今のチームメイトと体感したい。



みんなと一緒に、日本一になりたい。

理屈なんて抜きに、心からそう思えた。




…とまぁここまでイイカンジに書いてきましたが、日本一を目指せるようになってからも性格のねじ曲がった私は葛藤が多いです。

思うように仕事が進まないことや成果がでないことなんてざらだし、マネージャーの存在価値をしょっちゅう見失うし、なんでここまでしなきゃいけないんだって思ってしまうことも多々あります。


それでも、今はまがりなりにも「日本一」を根底に、前向きにマネージャーとして活動しています。
胸を張って「私は日本一を目指している」と言えます。

私の中では大きな一歩でした。


日本一を目指す時間は限られている。

このチームのために私ができること。
結果に後悔したくないから、がむしゃらにすべてやり切りたい。


泣こうが笑おうが結果がすべてだ。
どうか、どうか、みんなの思いと努力がいい結果となって表れてほしい。

3年S組 後藤望