最後の新歓期です。
部活に入るのか、サークルに入るのか、大学外部の団体に所属するのか、留学に行くのか、バイトに明け暮れるのか…今、新入生の目の前には無限の選択肢が存在する事でしょう。
大学生活も残すところあと11ヶ月となり、モラトリアム終了が間近に迫ってきた私からしてみれば何ともうらやましい限りです…笑
もう一回1年生に戻ることができたなら、今度はどんな選択をするだろう、と、たまに考えることがあります。
「たぶんもうボート部は選ばないだろうな~笑」とか、「バックパッカーしてヨーロッパ一周したいな~」とか、「ダブルスクールして外交官になりたいな~」とか、「水泳続けてみてもよかったかな~」とか…「やっぱりボート部に入るだろうな」とか。
3年前、私の目の前にも無限の選択肢が存在しました。
でも、その中から私は体育会ボート部を選んだ。
そしてまた無限の選択肢を与えられたとしても、きっとボート部を選ぶと思う。
その理由は至ってシンプルで、「変わるきっかけ」がほしかったからです。
海外に18年間住んで、グローバル人材だのなんだの言われますが。
実際のところは、エジプトという国の、国土のたった5%しかない人が住めるエリアの(残りの95%は砂漠)、さらに狭い小中高一貫校というマッチ箱のような狭い世界で18年間育ってきた、超ローカル世間知らず視野狭狭エジプト人だったわけです。笑
日本で18年間生まれ育った方々と何ら変わりないどころか、それ以上にコンサバティブでドメスティックな世界で生きてきました。ぬるま湯でぬくぬく育ち、何か新しいことに挑戦したり、一つのことに打ち込んだり、目標達成に向けて努力したり、そういう経験は皆無でした。
一見ハイスペック風な経歴には、実はそんな裏事情があります。(あくまで私のケースです。他の帰国子女はもっといろいろ大変な思いをしていると思うので誤解のなきよう…)
18歳のとき単身で来日して、「英語喋れてすごいね~」とか、「1人で日本に来て1人で生活して偉いね~」とか、「一橋合格したなんて賢いんだね~」とかとか、いろいろな人が褒めてくれました。
でも、そういう言葉の裏に「変わるきっかけ」を欲している自分がいました。
日本で教育を受けたら日本語がしゃべれるように、インターナショナルスクールで教育を受けたら英語が喋れるのなんて当たり前なのに。
お父さんがエジプト人ってだけの理由で海外で18年間生まれ育っただけなのに。
私の努力で得たものなんて何一つなくて、
むしろ私は、“一見ハイスペック風な肩書”の裏側に自分のコンプレックスとか、自信の無さとか、臆病さとか、全部全部しまい込んで、世間が作ってくれた“すごくて、偉くて、賢い、鹿野まい”という人間を演じることで現実から逃げてる卑怯な人間だったんです。
ほんと、しょーもない人生です。笑
でも、本当はそんなしょーもないことはやめて、何か「変わるきっかけ」をずっと待っていたんだと思います。
そんな時、体育会ボート部と出会って衝撃が走りました。
スポーツよりも勉強の世界で生きてきた一橋生が、日本一のアスリートになる。
ゼロから始める素人集団が、強豪校を倒して日本一になる。
何の変哲もない一学生から、「一橋大学」を背負う人間になる。
そのためなら、どんな犠牲も苦労も惜しまない。
ある先輩の、「自分の人生に誇れるものなんて何一つないと思っていたけど、ボート部で過ごした3年間だけは人生最大の誇りだし、今の自分を形成する最大の要素」という言葉を聞いたとき、
正直、心が震えました。
直感的に、ここなら自分を変えられるかもしれない、と思いました。
2015年3月27日、合格発表からたったの17日目、即、入部です。笑
まあ、結局こんな考え方は甘くて。笑
ただレベルの高い組織にいるだけじゃ変われないし、成長できないと気付くのにそんなに時間はかかりませんでした。
普通の人なら躓かないような小さ~なことにも躓いたし、たいしたことないことで傷ついて、ちょっとしたミスで自己嫌悪に陥って…何度も何度もぶちのめされて、逃げ出したいと思ったこともたくさんありました。
でも、ボート部には、そんな弱くてどうしょうもない私と、正面から向き合ってくれる同期がいました。
憧れの、追いかけたい背中がいっぱいあった。
「ボート部に入ってよかった」と思ってもらいたい人がたくさんできた。
誰よりも幸せになってほしい人が、たくさんたくさんいて、
自分のためにすら頑張れなかった私が、はじめて「この人たちの為に頑張りたい」と思える場所でした。
この3年間を通して、少しは変われたかな...と思っています。ありのままの自分に、ありのままの自分の人生に、少しは誇りを持てるようになりました。
少なくとも、3年前の私に、自信を持ってその一歩を踏み出せ!と言えるくらいには正しい選択だったと思います。
こんなに刺激的な環境で、尊敬できる・信頼できる仲間と共に成長できる環境はどこを探しても無いと思っています。
もし私のように「変わるきっかけ」を求めている新入生がいるとしたら、ボート部の門を叩いてみてほしい。4年後には、今の自分には想像もできない自分になれることを約束します。
もう一回1年生に戻ることができたとしたら、またボート部に入る。
心からボート部が好きです。
再来週には最後の商東戦が控えています。
少しずつ「最後」を更新してしまうのはちょっと悲しいですが、最高のシーズンの幕開けになるよう、漕手・MGともに全力で臨みたいと思います。みんなで笑いたい。
以上、夜遅くまで頑張っている商東戦幹事の前から長々とお送りしました。
4S かのまい