あらかじめ、私はめったに怒らないことを
お断りしてきます。
土曜日の外来に13:00頃、40歳の男性来院。
顔は黄疸でどす黒く、目は黄染しています。
お腹は蛙腹といって盛り上がっています。腹水です。
昨日からおしっこも出なくなってるようです。![]()
これは肝硬変の典型的末期症状です。
実はこの方7年前にもアルコール性の肝硬変>腹水で
1ヶ月入院していったん改善しているのですが、
そのときは黄疸までは出ていませんでした。
「すいません、やっちゃいました。」
やっちゃいました=酒を飲んじゃったとの意味ですが、
あれから7年ぶりです。何があったかはわかりませんが
とりあえず、入院しないと数日で死んでしまうので、![]()
180人の外来(半日です)の最後にこられたので
13:40分ごろ腹部エコーが終わって、
大量の腹水を確認した後に
まずは、7年前に入院した病院にお願いの電話。![]()
「生憎、今日は整形のDrなので。。。」
これは全く問題ありません。
そのために我が市では輪番病院制度があります。
これは、夜間や、土曜の午後から月曜の朝まで
いくつかの病院が順番で当番になって、入院治療が
必要な患者さんを受け入れるしくみです。
風邪などの軽微な病気は市の医師会の急患センターで見て、
重症が輪番病院にいくわけです。
そこで、当日の輪番病院にお願い。
普通は看護師同士のやりとりで![]()
「いらしてください」
になるのですが、どうも雲行きが怪しい。
なんでも、精神科がないのでDrがアル中は見れないといっているらしいのです。
これは、アル中ではなくて、肝硬変のデコンペリ(急激悪化の意味)
といって、生死にかかわる問題なのです。
らちが明かないので医師同士話し合うことに。
電話の向こうは女医さんでした。
「おしっこが出ないなら危ないじゃないですか。家族と一緒に
病院に来てください。」![]()
「家族?すいません、一人で病院に来てるので家族にはこれから連絡取りますが
まずは、患者さんだけ先に行くのが普通じゃないでしょうか?」
「途中で意識がなくなって事情が聞けなくなったらどうするんですか?」
「どうするんですかって?
救急当番なんだから意識ない人も救急車でたくさん来るでしょう?」
「では、患者さんの家族構成はどうなってるんですか?」
「どうなってるって、7年ぶりにこられた方の家族構成がわかるわけないでしょ
普通。かかりつけならともかくですよ?」
「あなたがもし家族なら自分の身内が具合悪くなって運ばれてたら心配しませんか?」
この時点で完全にぷちんと来ました。
「今、具合が悪い人がいて救急に治療が必要なのに家族構成とか私に聞くのは
完全に筋が違っていると思います。まずは、具合の悪い方をみて、その後の家族への連絡は
双方の病院で協力してとるようにするのが普通でしょ?
それを何で私が患者さんの家族なら心配じゃないかとか、
そういう意味のない説教を受けなければならないのですか?
救急患者は家族と一緒に受診しないと断るというのがあなたの個人的見解ではなくて、
そちらの病院としての対応と考えても差し支えないのですね?」
「結構です。」![]()
こうなると、呆れて開いた口がふさがらなくなってました。
そうこう、口論している間にスタッフが患者さん(意識はしっかりしてますから)
から聞き取ったことをメモに書いて私に見せてくれました。
「現在、離婚して、母親と2人暮らしだが、母親は入院中だそうです。
入院先の病院に、一緒にいかないと入院させてくれないからといって
お願いしましょうか。」
と、語気を強めると
「救急車で来るんですか?名前生年月日は?」
タクシーで行く旨、前生年月日を答えると、受話器をたたききられました。![]()
つい最近も、東京で産科の病院に次々断られた挙句、患者さんがお亡くなりになって
問題になったケースがありますが、実は我々開業医にとって、当番病院の決まってない
平日のお昼ほど厄介なことはないのです。
尿管結石で痛くて転げまわる患者さん。
痛み止めの注射、点滴も全く効かない。
泌尿器科のある病院に電話をかけまくっても、
「手術中」 「学会でDrがいない」で断られるほうが多い。
やむなく輪番の時間(19:00)まで、あの手この手で対症療法を続けて
しのぐことも度々なのです。
それだけに今回のこと。
あきれ果てて、悔しくて。
私が何か悪いこと、間違ったことしましたか?
今回は冷静に尚且つ徹底的に戦います。