「ぶら下がり健康器物語」
ぶら下がり健康器、昔はやりましたねえ。これは日本体育大学教授の故塩谷宗雄さんが考察したものです。塩谷さんは昭和25年頃から全国の農村や工場をまわって、働く人の健康、体力づくりを手がけてきました。そんな時、行く先々で目の当たりにした光景が腰痛に苦しんでいる農民の姿でした。戦後まもない日本では農作業は手作業で、腰を曲げての作業が多く、腰痛に悩む人が大勢いたのです。「何とかしてあげたい」そう考え続けていた塩谷さんが、ある日ふと目にしたのが鉄棒で遊ぶ子供たちでした。そこで腰痛の人を鉄棒にぶら下がらせて、体を支えながら腰をゆっくりと伸ばしてあげました。すると効果がたちまち表れたのです。レントゲンで腰を撮影してもぶら下がった後で骨と骨の隙間が開き、背骨も真っすぐ伸びていることがわかりました。「どこでもいいからぶら下がれる適当な場所を見つけてぶら下がりなさい」と、塩谷さんは手軽にできる「ぶら下がり健康法」を全国各地で指導、そして昭和51年には当時の健康雑誌で発表しましまた。昭和54年にはテレビの通販を通じてぶら下がり健康器具が大ブームとなったのです。しかし、翌年にはブームは急速に沈静化。器具はもの干し代わりに、そしていつのまにか姿を消していきました。
>>続く