今あるものが全て滅んだら、跡に残るのは、月だけなんだろうな。
5歳の夜、ひとり、闇の中、
今、ここにあるものは、闇に溶けて消えるだけなんだ、
どうせ、全部滅ぶんだ、どうせ、なにもかも、ぜんぶ、終わるんだ、
と知って、なんて、無意味なんだろう、なんて、無駄なんだろう、と、
そのときから、絶望の夜の底から、這い上がれなくなった。
空は普通「くう」もしくは「そら」と読みますが、
梵語で前に言うた様にシューンヤ(sunya)と申します。
それを般若経や竜樹等の説によりますと、
虚空、響、夢、影、水中月、鏡中像
というような内容を含むと同時にこれ等の意味によって
幽玄、枯淡、虚仮、無実、生滅、変異、
欠如等いうような意味が生じて来るのであります。
これ等の者を総称して、
無"Abhava"アプハヴァというのであります。
無は無常Anityaアニトヤ無我Anatmanアナートマン無為Asmskrtaアサムスクリタ
涅槃Nirvanaニルヴァーナの無を以って仏教の一貫したる否定的原理とするのであります。
「仏教倫理学概論」





