ものごころつく前から夕日が好きで、いつもこの場所から夕日を見てた。
夕日はどこでも、いつでも、同じ光で世界を照らしてて、
夕日を見ると、ひたむきに夕日を見てた子供の頃の時間に
あっという間に戻ってしまう。
よく、本当は上がれるようにはなっていないマンションの屋上に登って、そこで一番空に近い場所、
給水塔?にしてはタンクのない、給水塔もどきの上までよじ登って、
日が沈みきって暗くなるまで、夕日が沈むのを見つめていた。
12歳のとき、わたしは、
空に一番近い場所で夕日を見られる場所を求めて、
いつも、ひとり、あそこにいた。
このハシゴをよじ登って屋上まで行くんだけど、
このハシゴ、今でもわたしの頭の上辺りの高い場所から打ち込んであって、
作業員が業務用で使う以外、普通、一般人が使っていいものじゃないという意図がバリバリ出てるんだけど、
子供が昇れる様な高さじゃなかったはずなんだけど、
わたしは、遮るものが何もないところで、どうしても夕日を見たい、
という執念の一心で、頭の上から始まるハシゴに飛びついてしがみついて、
壁を蹴って、ぶら下がるようにして一段一段ハシゴを上がって、屋上に昇っていったんだ。
あのころ、あの日と、同じ夕日。
綻び始めた桜と、夕日。
夕景














