あのとき、血まみれの友だちを置いて家に走って帰って、
玄関の扉を開け、「ただいま」と背後で家の扉が閉まった瞬間、
私の記憶は扉の外に締め出され、私から分断された。
家の中には、私の記憶がいる場所はなかった。
家に、私の記憶がいることは許されなかった。
家で、私の記憶は、私に帰還することなく、
私から分断されなければならなかった。
私が私でいることはできなかった。
私が私でいる必要はなかった。
私が私であることは許されなかった。
記憶は、私から締め出されて、
そこで、乞食のように飢えて死ななければならなかった。
名前を呼ばれることに飢えて、死ななければならなかった。
彼らの眼差しの中で、私は誰でもなかったので、
私は、誰でもなかった。
彼らの眼差しの中で、私は、感情も思考も意思も記憶もない機械だったので、
私は、機械だった。
彼らは、私を彼らの眼差しの中に、閉じ込める。
彼らは、私を彼らの眼差しで縛る。
私を縛る彼らの眼差しの中で、私は、私から追放される。
私を閉じ込める彼らの眼差しの中で、私は、私にとっての部外者になる。
彼らにとって、私は、誰でもなくなる。
私にとって、彼らは、誰でもなくなる。
