「パンは飽きたからケーキを買ってきてちょうだい」
これは生徒会長:安藤麻里子が昼食後に毎度のたまうセリフ。
そうした日々の言動と名前からマリコ・アンドウネットと陰口を叩かれているが、どうやら本人はむしろ気に入っているらしい。
いつもパンかサンドウィッチをひと口食べる程度で、あとは当たり前のように残す。実質的に腹を満たすのはスイーツということのようだ。
なので、「下僕」と呼ぶドM男子から成る親衛隊にコンビニやスイーツ店へパシらせる。
その日その日の気分やイメージに一番マッチしたスイーツを献上した下僕に、食べ残しのパンやサンドウィッチを勿体ぶった手振りや小道具を使った仰々しい演出を施して下賜する。
そのためか、非Mの男子も「食品ロス削減に貢献するため」などと見え透いた口実を聞こえよがしに呟きながら親衛隊に続々と加わっているらしい。
SDGs委員の関谷までもが何を血迷ったのか下僕になりたいと言い出す始末。SDGsの項目にいくつも反していることを確認させて入隊を思いとどまらせた。
そんな中、反安藤派の生徒会保安部の羽佐間が狼煙を上げた。
「パンに飽きた女王様に、刑期を喰らわせてやれ」
生徒会掲示板に貼り出された下手くそな檄文は安藤派に大ウケし、羽佐間派は新喜劇風にコケるしかなかった。
これを機に羽佐間派は瓦解し、無派閥の俺と竹仲や志水はもはや鹿縞派に合流するしか昼休みをまっとうに過ごせる術はなくなった。