放課後、河川敷の草むらの奥に開けた窪地に俺と六浦、市岡の3人で集まった。トンポックで遊ぶのに絶好の場所だった。
日が落ちて、トンポックも佳境になったころ、市岡が悪霊や死神に連れていかれたのか姿が見えなくなり、六浦と2人で深夜0時過ぎまで探したが見つけることはできなかった。
俺と六浦は警察に事情を聞かれたが、悪霊だとかの話を信じてもらえるはずもなく、繰り返し繰り返し同じことを細かく聞かれた。
とうとう六浦が「自分が市岡君を殺しました」と“自供”してしまった。
何としても容疑を認めさせようとする取り調べの苛烈さに耐えきれず、いやむしろ、トンポックに市岡をしつこく誘ったことへの自責の念に堪えきれなくなったのだろう。
警察が半グレを吐かせるようなやり方で善良な高校生をせめ立てるのも分からないでもない。
このところトンポックが関係した事件が立て続けに起こっていたからだ。
先月から3日前までにかけて行方不明者が4人も出ていたところに今回の事件。それは警察の威信と面子にかけて躍起にならないわけにはいかない。