「千原ジュニア君、千原ジュニア君、生徒指導室まで至急出頭するように!」
校内放送から生活指導の高宮がガナリ立てているせいでスピーカーの音声が割れ気味になっている。
「テレビのロケか何かで来てんじゃね?」
ウチのクラスでは、自称お笑い番長の嬬元が茶化すように声を上げたが、ほかのみんなは多少ざわついただけで自習に励んでいた。
いや、たしか三年にチハラという名字の先輩がいたような…。そう思い至ったのは自分だけのようだった。
「おい、嬬元。ロケだろうが何だろうが、こんなところに千原ジュニアが来るわけねーだろが。タカミヤは茅原淳也を呼び出したんだよ。三年の茅原先輩、オメーも知ってんだろ。ゲーセンでコイン恵んでもらった人だよ」