小腹がすいて、「たしか…台所の食器棚にチーズケーキがまだ残っていたような気がする」と思って開けてみた。

が、食べ物は入っていなかった。


思い違いかなと思っていると、妙な気配がした。

食器棚の奥からなにか出てきた。


「そなたの探しているのは、この金の斧か、それとも銀の斧か」

ああ、これが例の女神様か。

それにしても出てくる場所も持ってくる物も間違えすぎだろう。


「いいえ、チーズケーキを探していました。先に兄に食べられてしまったのかと諦めていたので、ペヤングでも作ろうと思ったところです」


「では、斧を落としたのはそなたの兄ということか」


「いや、それも違うと思いますけれど…」


「仕方ない、正直に言おう。金と銀の斧でごまかそうとして悪かった。チーズケーキを食べたのはわらわじゃ。代わりに、ぼた餅を授けよう」


こんなことがあってから「棚からぼた餅」とは、バージョンダウンあるいは劣化版をつかまされるといった意味にしか解せなくなった。




棚からぼた餅の経験

 

 

 

 

 

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