タクシーに乗っていたとき、交差点付近で徐行していると後続のタクシーに向かってなのか、長い黒髪の女性が手をあげた。
あろうことか、乗っているタクシーが停車し、その女性を乗せた。
「運転手さん、これは困るよ」と文句を言ったが無視。
女は相乗りを気にもせず「青山霊園まで」と行き先を告げた。
…あ、ヤバい。これは例のパターンか?
だが、女はちゃんと足が生えているし、髪や服も、シートも濡れていない。
幽霊ではなさそうだが、かなりイタイ女だ。もちろん運転手もイタイ。
あ、イタイといえば、後ろのトランクに入っているんだった、オレのイタイ。さっき轢き殺されたばかりの。


