「夕方、帰るときに、覚えていやがれって、お前にはそれだけ言って、あっちへ行くつもりだったんだけれど⋯ごめん」

それもごめんじゃねえだろ。

「でもな、今はあの頃より治療法の研究が進んでいてさ、治る人もたくさんいるっていうんだし」

「⋯え、そうなんだ」

やっと声になった。

「それを先に言えばよかったな、ごめんな」

「なんでお前が謝るんだよ」

「ごめん」