小さいときに住んでいた、ある町の郊外。
深い森がもうすぐ近くまで迫っていて
昼なお暗いバス停で
町の病院から帰ってくる母を待っていた
あの日の夕方のこと。
雨が振りだし、木々の葉を打つ雨音が
わりと大きくなってきたとき、
いつの間にかすぐ横で、
とても大きくてまん丸な人が
大きな葉っぱを傘代わりにさして
じっと黙って立っていてくれた。
バスが来るのが見えると、
その人はもういなくなっていた。
⋯あれは誰だったのだろう。
最近、テレビを見ていてやっと分かった。
あれはきっと、マツコデラックスさん、
その人だったと確信した。