寅年ということで、長ネギの虎退治という昔話を思い出した。


一般的には虎退治といえば、長ネギよりも加藤清正のほうだろう。


むろん、加藤清正がじつは長ネギの化身だったという話でもない。


幼い頃の記憶だから、おぼつかないが、長ネギが虎の毛を抜いて丸裸にして、虎は恥ずかしくて巣にしている洞窟に閉じ籠ってしまい!餌も狩りに行くこともできなくなって死んでしまう、というようなあらすじだったと思う。


それだけだと、虎退治するのがどうして長ネギなのかが分からない。昔からの言い伝えや経験則などが背景にあって、トラは長ネギの辛み成分が苦手だという知識が前提となっているのかもしれない。


あるいは、虎の黄色と黒、長ネギの緑と白という色彩の取り合わせから、干支と方位、方位と神獣、神獣と色の関係が想起させられ、虎はネギに勝てないという神話的な先入観が醸成されてきたのかもしれない。


虎(寅)は鬼門の艮の片割れに過ぎず、長ネギの帯びる緑(青)と白は青龍と白虎のコラボ、単純計算でネギの圧勝……。


少しは理屈らしきものはあるようだ。それを捏ねくりまわしても徒労に終わることは目に見えている。とにかく、もとになった言い伝えや言説に近づく資料を見つけ出さないことには何も始まらない。