廃墟を設える庭園が流行ったころ


初老の紳士が現れた。



襟巻きに傘の骨を仕込んで帆立のようにしている。



木々の葉が舞い落ちるなか


まばたき一つせずに立ち尽くしている。




占い師の老婆が繰り返し呟いていた言葉を思い出した。


だれもかれも来ない


来るのは絶望の破片




あれは予言だったのか呪文だったのか。



襟巻きの帆に木の葉が張りつく。



張りついては吹かれ


一枚一枚


ちゃんと順番を待って張りつき


時間を守って次に譲る。