何を食べたか思い出せない。

単なるもの忘れかとも思ったが、
ものすごく美味しかったことは覚えている。

なにが美味しかったのか、具体的なメニューや食材までは思い出せない。

どういうことなんだろう。

もの忘れでも記憶喪失でもないと自分では思う。なんらかの記憶障害にはちがいない。もしかしたら、食事なら美味しいとかまずいとかの味覚に起因する感情や気分は覚えているが食べたものは記憶に残らない、といった記憶障害なのかもしれない。

えらいことだ。食事のことだけにとどまるならまだいいが、ほかのことにも波及したら大ごとだ。

⋯⋯調べたら、ある種の味覚障害の後にまれに起こるスクロヴァチェッリ症候群と呼ばれるものの症例で似た障害が報告されているらしい。

こんなわけの分からない病人に付き合ってくれる医者など、いまの状況ではいない。これがコロナの前駆症状だったり後遺症だったりすれば相手にしてくれるかもしれない。

コロナになるまでは自力で治療するしかない。
とりあえず断食してみる。ついでに座禅を組み、心を無にしてみる。その間の記憶ははなっから不要。たとえ座禅して悟りを開いたとしても、どうでもいい。悟りを開いたという感覚やイメージも邪魔。その程度の悟りなら治してからまた開けばいい、どうせリピートできる。

もちろんド素人の座禅だから、なかなか思うようにはいかない。

⋯只管打坐。