恐怖心しか残らなかった。
試写直後、率直な感想を口にした。

ほんの気持ちだけソフトな仕立てにしておきますか?
脚本家が言った。

いや、ほかのみんなにも聞いてみてくれ。私が知りたがっているとかではなく、キミのアシスタントを使って“ここだけの話”くらいの感じで頼む。

わかりました。

五日後、カメラアシスタントが変死体で見つかった。試写でも描かれていた殺され方だったらしい。当然、関係者全員に容疑が掛けられることになる。製作中止の発表も準備しなければならない。

スポンサーにお伺いを立てようとアポを取ろうとしたとき、当の担当者から連絡が入った。
発表は…。
電話が切れた。かけ直しても出ない。向こうもいろいろ混乱があるのだろう。とにかく、あちらに出向く。

その担当者が殺されていた。今回も現場の状況が映画の内容に酷似しているという。

ああ、もう終わりだ。