先月発売のなかから、タイトル欄記載作のネタバレあらすじを垂れ流し、感想を交えています。


…真夏は、中学三年生の男子。小学生のときからずっと自己紹介のときは女子みたい名前のせいでいつも嫌な思いをしてきた。
だが、中学三年になって初めて同じ思いをしてきた女子に出会った。その子の名は、カツヒコ。真夏は自分より大変な思いをしてきたであろう女子に注目せずにはいられなかった。
磯谷克妃子。あだ名は幼いときからほとんど必然的に「磯野カツオ」に決まった。最初のホームルームの自己紹介でみずからそう明かし、「姉さん、そりゃないよぉ~」と例のアニメのモノマネまで披露した。

そのホームルームのあと、真夏はカツヒコから声を掛けられた。真夏の名字は鮎川なので出席簿順は磯谷より先だった。磯谷のインパクトのおかげで真夏へのイジリは緩和されたが、その本人からイジられる。
鮎川くん、わたしのこと、カッちゃんって呼んでくれていいわ。そのかわり、鮎川くんのことは、ナッちゃんって呼んでいいかしら。
「いやだ」と言いたかったが、なぜか磯谷には言えなかった。

…この程度の出オチ・名前オチだけの中身ゼロ系の学園モノ。
とはいえ…、日直の日の朝、克妃子は自分が養子だということを真夏に告白したり、林間学校のキャンプファイヤーで克妃子が幼いときから大事にしていたぬいぐるみを焼いたり、文化祭ではクラス企画のお笑い寄席でカッちゃんナッちゃんとして夫婦漫才をやる羽目になったり、大掃除の日に壁板の裏に見つけたダビンチ風の壁画など、エピソードもそれなりにあって、なかなか予想を裏切る展開に引き込まれた。
だが、ページの残りが少なくなるのが惜しいと思わせるところまで気持ちをもっていってくれたものの、ラストがイタい。
卒業式前日の下校中、二人ともトラックの横転に巻き込まれるか巻き込まれないか…そのシーンでぶった切るように終わる。部数が伸びれば、続編にちゃっかり繋げられるように含みをもたせたのだろう。オープニングは、ICUでどちらかが意識を取り戻し、どちらかが見知らぬ川べりで渡し舟の六文を三文に値切ろうとしている場面から始まるとか…。
もちろん現時点できっぱり、二人ともオダブツと解釈して、たとえ続編が出ても読まないという選択肢もあるが、むしろ、続編が出たのも知らないままでいる可能性大。本作のこともきれいさっぱり忘れらていれば、なおよろしい。