狂闘抜刀族

構成員30名から成る
パフォーマー集団。
丸葉区を中心に活動中。

路上で仇討ちや辻斬りの
パフォーマンスを披露している。

昨日、たまたま見かけた。
珍しかったので、
ひと段落するまでみていこうと思った。
テンポがよく、メリハリもあって
とうとう最後まで見せられてしまった。
見始めたときは五人ほどいた観客も
最後は私ともう一人だけになっていた。

その一人はさっさと立ち去ったが、
私はぼんやりと彼らの終演後の
やりとりを眺めていた。

すると、リーダーらしき男が
私に近づいてきて
DVDらしきケースを渡す。

これ、よかったらもらって
やってください。

か細く透き通った声に驚いた。
女の声だった。
思わず二度見、顔をよく見ると
男装した女性だと分かった。

こうなったら仕方ない、千円札を渡す。

いえ、結構です。

え?

ウチら、商売にはしたくないんで。

そうなの。じゃあ、もらっておくよ。

でも、感想とか、ウチらの掲示板に
書きこんでくれるとうれしいです。
メールでもいいですし。
URLとアドレスはケースの中に
入ってますから。

後片付けも終わったようで
その集団は去っていった。

帰ってさっそくもらったDVDを見た。

あれ、なんだこりゃ…

どこかのホールで上演した
子ども向けの童話劇や人形劇が
入っていた。

彼らと交流のある劇団の公演なのか、
どうも間違ったものを渡されたようだ。

だが、最後の劇団紹介のテロップを見て
ようやく分かった。

「その他の活動」として
路上パフォーマンス(狂闘抜刀族)
と書いてあった。

なるほど。
子ども向けが本業で、さっきのは…。
でも、ほんとうはあれがやりたい。