幼少期から
夢も希望も捨てることを
叩きこまれた。

だが、人には
夢はともかく、
希望を捨てるようなことは
しないようにと
励ますことをいつも心掛けている。

そんな雄太が
みずから命を絶った。

その間際にも、
ひとに説いていたらしい。
「ごめんな、でも希望は捨てるな」と。
言われた当人が救急車を呼んでくれ、
駆けつけた自分に事情を話してくれた。


でも、どういうことか
ぜんぜん分からないよ、雄太。
説明してくれよ。
ちゃんと説明するまでは
ぜったいに死なせないからな。

「希望は捨てるな」と言ったよな。
いつもいつも、周りのひとに、
あいさつをするように、言っていた。

おまえが一命をとりとめる希望を
捨てるなという意味もあるわけだよな。

おれにも「ごめん」と言ってくれよ。
こんな忙しいときに
駆けつけさせてしまってごめんと。
心配させてごめんと。

さあ言えよ、はやく言ってみろ。