その展示コーナーには
点字コーナーとして
名称や解説が
まとめて一カ所に
集約されれていた。

これでは
付き添いの人と一緒に
展示品についての会話、
その人の目を通した感想などを
たとえ当の展示品が見えなくても
実際に真ん前にして
やりとりを楽しむことができない。

そればかりか、
目の不自由な人が
同じ時間帯に何人も
来訪した場合には
その点字コーナーに
何人も群がって
読むことになる。




だが、当館では
全収蔵品について
同じ材質による精巧なレプリカを
用意している。

ものによって
異なる方法をとることもあるが、
点字タグを付けたレプリカを
実際に手にとって
体感してもらうことができる。
点字コーナーと展示コーナーの融合だ。

だが、これでもまだ、浅はかだった。

レプリカを健常者が
占有するケースが後を絶たない。

館内掲示で注意を促しても
専任の係員をコーナーに常駐させて
口頭で注意しても
ほとんどが無視するか、
理不尽なクレームをわめき散らす、
手にしているのが
レプリカであるのをいいことに
係員に投げつけたりする
ケースまであった。

レプリカとはいえ、
数十万~一千万円近くに
なるものまである。
破損した場合、係員が負傷した場合、
損害賠償はもちろん、
刑事罰を受けてもらう。
実際、すでに10名の逮捕者が出ている。

こうした状況をうけて、
苦肉の策ではあるが
レプリカを二つずつ
製作することに決まった。

もちろん、二つあっても
大バーゲン会場同様の
争奪戦となる可能性を否めない。

人気ラーメン店などでは
わりときちんと順番を待つのに
こういう場所では
かえって本性が出るのか、
おぞましい光景を目にすることが多い。

あとは入場制限…。
一定時間帯で一定人数のみ
入館していただく方式。
これはやはりできない。
入場料を何倍にも上げないと無理だ。

すでにレプリカ対応で
開館当初の入場料から
500円(大人)アップし、
さらにレプリカ倍増策で
300円値上げする。

もうひとつ、
曜日別の入場制限。
たとえば、火・木・土は制限なし。
水・金・日は障がいのある方と
その同伴者に限定。

団体は、曜日フリーで問題ない。

問題は遠方からの個人来館者だ。
もちろんポスターやホームページなどで
告知するが見るとは限らない。
もはや個別に対応するほかない
かもしれない。