「折りたく柴」というワードは
いわば本歌取りだということに絡んで
訊いておきたいことがある。

新井白石自身も「折りたく柴」の語を
新古今集の巻八所収の
後鳥羽上皇御製歌から拝借している。

思ひ出づる
をり焚く柴の
夕けぶり
むせぶもうれし
忘れ形見に

第二句「をり焚く柴の」からの、
折りたく柴。

仕えた将軍や自身の成し遂げた事績を
書き綴った随想、
それはたしかに忘れ形見のようなもの。
『折りたく柴の記』と題したのも肯ける。

しかし、その意味からすれば、
縁起が悪いとまでは言えないが
めでたくはない言葉、
コンビニ名にはあまりふさわしくない。

ただ、前編で挙げた「さ○ば青春○光」
というワードにしても、
どちらかといえば、
しみじみとした情感を誘う言葉。

折り焚く柴も、
こちらは忘れ形見の象徴、
しかも「むせぶもうれし」という
なかなか複雑な情感を
縁語と縒り合わせつつ紡ぎ出す言葉。

相方の恩師が
さ○ば青春○光さんの芸風も
我々の芸風もご存じで、
先生なりに似ていると
お感じになったからなのだろうか…
まずはそれを確かめたい。

また、「オリタクシバ」が
御製歌に遡る言葉であるからには、
前編で記したように
「オリタクシバ」をアレンジして
「降りたタクシーしばいたれ」
とするのは畏れおおく憚れる。

そういえば、いま思い出した。
タクシーしばいたったら、
前園の二番煎じや。
パクリやし、犯罪やし、こらアカン。

重ねがさねアカンがな。

そんなわけで、
相方の恩師からいただいた
「オリタクシバ」との提案については
丁重にお断りしよう。

代わりに、新井白石の采配した
正徳の治からひねって、
昭和の漫才師風に正治徳治とか、
コント集団風にショートくの一とか、
そのあたりを落としどころするか。

また、新井白石の白石は号で、
名は君美と書いてきんみと読ませるから
キンミでいくというのもある。

新井白石が新井君美だということなど
知ろうと知るまいと、
とにかく短くて覚えやすい。

例えば、のっけの登場は…
ども~っ! キンミの新井でーす。
キンミの白石でーす。
二人あわせて新井白石でーす、
いやいや、キンミでないんか~い!
…ってな感じ。
わ、だっせ…。でも、これでええ。