トマトとチーズの匂いが
ほどよい焦げた香ばしさを
まといはじめた。

だが、間もなく
焦げ臭さがちょっと強くなってきた。

何やら妙な雰囲気、というより
騒然とした感じになってきた。

悲鳴が上がり、
厨房のほうから火が吹き出し、
ホールや客席の天井が落ちて
炎の幕が降ってきた。

…気づいたときにはベッドの上。
全身を包帯でグルグル巻きになっていた。できることなら、
あの店のシェフが茹でたパスタで
グルグル巻きにしてもらいたい。