仮説だろうがみなしだろうが、
どうでもいい。

ヤツを倒せるか、こっちがやられるか。

あとは玉ねぎと豚肉を炒めて食うだけ、
食い逃げだ。
よその家の台所で昼飯を作って食って
さっさと帰るわけ。


場所は地獄谷温泉、
亜硫酸ガスが規制値以上なので
お互い防毒マスクを着けての勝負。

はたから見れば、
なんちゃってダースベイダーどうしが
デススターとか宇宙船とかではなく、
湯けむりたなびく秘湯、
いかにも地球っぽい場所にやってきて、
素手でボコり合いをしているという
かなりマヌケな光景。

これはいかん。
ヤツがどんなにいきり立っていようが、
勝負の前に話をつけないとまずい。
防毒マスクはOK、
黒マントの着用、そしてサーベル、
に見立てた木刀の使用を認めさせる。
ちょっとは何かの撮影やロケに
見えるようにはなりそうだ。
マヌケならマヌケなりに努力しろ、だ。

なので、行く前にデカい街まで
足をのばしてヤツの分も込みで
2セット購入。

街からの帰り、また腹が減った。
昼に上がり込んだ家に寄り道だ。

例の炒め物、ちょっと余ったから
ラップをかけて冷蔵庫に入れておいた。
まだ留守だろう、それを片づけよう。

勝手に世話になったので礼をしたくなった。
生きて帰れたら温泉街のほうに寄って、
温泉まんじゅうでも土産に持参しよう。
たいそう迷惑なお土産だろうが
そうしないことには気が済まん。
勝負の前はヘンなビョーキが出まくって
しょうがない。

そうだ、この際、皆さま方にも
お知らせしておこう。

お宅の冷蔵庫に、
入れた覚えが家族の誰にもない
炒め物があったことはござぁせんか。
大方それは、あっしの食い残しです。
これまでも各地を転戦するたびに
どこかのお宅の台所でこっそり
勝負メシを作ってきやしたもんで…。

今回は、食い残しは食べきりましたが
もらった覚えのないお土産があるという
気味のわるい現象が発生するわけです。