知り合いのルポライターが
スウィーツにハマりだしたと
急に言い出した。

おまえは女子か、とツッコミを入れた。

いっそ女子になりたいくらいだよ。

ボケなのか本気なのか。
スウィーツ店めぐりも
彼女と行けばいいだろ。

あいつ、辛党なんだよ。
行けても二軒くらいで、
あとは担々麺とか麻婆豆腐とか激辛系に
付き合わされるのがオチなんだよ。

そうか、それは残念。

そこでだ、おまえ付き合ってくれよ、
スウィーツめぐり。

アホか。男二人でかよ、
そういう趣味じゃねえし。
一人で行けよ。
男一人でスウィーツめぐりはアリだよ、
男二人でよりかはマシじゃねえか。

だめか…。

だめか…とか落ち込んでんじゃねえよ、
ダメモトで聞いたんじゃねえのかよ。
しゃあないな、スウィーツ女子でも
紹介してやるよ。

お、いいねえ。

グルメ記事担当のライターでな、
俺も少しまえの特集のときに
助っ人で担当になって、
いっしょに地方のご当地グルメを
まわったことがあるんだ。

ぜひ頼む、って言いたかったけれどな、
…問題があった。

なんだよ。

あいつ、辛党だけならまだしも、
妬きもちなんだよ。
仕事で女性と組む場合ですら
やたらうるさいから、
今回みたいなプライベートだと、
もし嗅ぎつけられでもしたら…。

ま、そのときは俺がちゃんと
事情を説明してやるよ。

うーん、それでも…。

たしかに、スウィーツめぐりの合間に
別のお楽しみもできるって
へんな勘ぐりもされかねないな。

そうなんだよ。

あとは、友達や知り合いに片っ端から
スウィーツ好きかって聞いて回れよ。
今どき、男でも誰かしらいるだろう。

もう、やった。
おまえさんが最後の頼みの綱だった。

ワルいな。あ…、いいのがいる。

お、なんだよなんだよ。

まぁ、これも妬きもちやきの彼女の
嫉妬深さの程度によるけれどな。
オネエ系だよ。
そうだよ、いいオトコ紹介してって
言われていたんだ。
いたよいたよ、いいオトコがここに~。

ちょっ、待ってくれよ~。
…いや、そうだな。
もうその手しかないな。
さすがにあいつもオネエには
嫉妬しそうにない。
むしろ、友達になりたい、紹介して、
なんて言われてもおかしくない。

ヤツに本気で惚れ込まれたり、
逆におまえがオネエとしての自分に
覚醒しても知らんぞ。
急にスウィーツにハマるのも
その前兆だったりしてな。

勘弁してくれ~