和也の決意

昼の1時過ぎ、
そばを注文したのに
なかなか来ない。
もう2時半になる。

ときすでに遅し。

腹具合もそばでは
もの足りなくなった。

もはや「ときすでにお寿し」となる。
寿司が食いたい。

そば屋に電話して
キャンセルする。

そば屋Tもそば屋Mも
催促の電話に「いま出ました」と
当たり前のように答えてから
作り始める。
最初の電話は仮注文、
催促の電話が本注文。
その前に店の裏手に出て
のんびり犬や猫に餌をやる。
そば屋あるある的因習を
いまだに続ける。

そのペナルティーとして、
寿司屋に出前させるよう
そば屋に注文を取り次がせる。
当然、寿司屋の勘定は
出前料金ではなく店内料金にさせ、
かつ、そば屋が出前を代行する。
なんなら、宅配ピザ屋にも
「お持ち帰り」の注文を入れて
そば屋に持ち帰らせる。

3年ほど経つと、2軒とも相次いで
お品書きに寿司を加えた。

そんなことするまでもなく
早く作りゃいいだけのことだろが。

そば屋Tに出向いて叫んだ。
和也がこんなに大きな声で叫ぶのは
これが初めてだった。

次に、そば屋Mに行き、
同じように叫んだ。
さっき以上のもっと大声が出せた。

よし、これはイケる。
和也は大声コンテストに
出てみようと思った。