年の離れた弟に誕生日プレゼントに
人力車が欲しいとせがまれた。

浅草や鎌倉などの観光地で活躍する
人力車と車夫がテレビで紹介されるのを
見てやってみたいと思ったらしい。

じゃあ、今度の日曜、乗りにいこう。

いい、乗らなくていい。

お父さんとお母さんを乗せて走りたい。

そうか…。のぶおは人力車を引く人になりたいんだ。

そう、車夫って言うんだよ。

人力車はちょっと待ってくれ。
その代わりというか、その前にな、
車夫の格好をしたいだろ。

うん。

あれなら一式、揃えてやれるよ。

やったぁ、ありがとう!

…ちょっと待てとは言ったが、
人力車を買うのはもちろん無理。
作るにしても、意外とお金がかかる。
時間も労力も技術もない。

そこで折衷案。
小さいとき田舎の祖父のところで
倉庫にリヤカーが二・三台あるのを
見かけたことを思い出した。
一台もらえたら改造して
人力車っぽく仕立てる。

それでのぶおは納得してくれるか。