蛇にはまだつづきがあった。

通り過ぎたと思ったら、
また毒々しいウロコと紋様が
ニョロニョロと地を這っていく。

二匹目があとに続いているのではない。
頭がない。途中が透明になっている。

そんなことがあるのか。
もう見えなくなってしまったが
前のほうも尻尾らしい尻尾は
たしかなかった。

二匹が列をなしているとすれば、
もしかしたら、二匹目の蛇は
頭がないように見える珍しい種類の
蛇なのかもしれない。

珍しい種類ということなら、
やはりコイツは一匹で、
途中が透明に見える種類なのか。

長い編成の貨物列車で
途中がコンテナ積載なし、台車だけの
車両があるようなイメージ。

だったら、台車にあたる部位があるはず。

だが、そのような部分は確認できない。

確認できる距離まで近づく気はない。
こわすぎる。

そうだ、長い棒で透明部分を
突っついてみればいい。

長い棒、長い棒…、
うまい棒ならある。

長い棒も長い棒になりそうな長い枝も
見当たらない。
うまい棒なら30本買ったので、
硬化剤を染み込ませ、
接着剤で繋げられれば長い棒になる。

それよりは
うまい棒を買った売店で
長い棒を買ってくればいい。

でも長い棒なんか売っているか?
その店には登下校のとき、
毎日のように寄るが、
長い棒など見かけたことがない。


た~けや~ 竿竹~♪

なんてタイミングがいいんだろう。
近くの車道まで走った。

持っていたお小遣い全部はたいた。

ダッシュでさっきの場所へ戻る。

いなかった。
ぼくは号泣した。
涙と鼻水を垂らしながら
とぼとぼと三十分かけて家に帰った。



お小遣いを蛇に呑み込まれた。
お母さんにそう言い訳をした。

じゃあ、その竿竹はなんなの。

代わりに蛇がくれた。

そんなわけないでしょ。

だって…。

わかったから、お母さんが
あんたから買ってあげるから。
物干しのところに置いときなさい。

いいよ、蛇からもらったんだから。
ぼくの宝物にするんだから。

あきれた、好きなようになさい。



……あの蛇は神様の使い、
あの竿竹屋さんは、蛇の化身。
あの透明部分は神獣の証。

あの日以来、ずっとそう思ってきた。
今でもそう信じている。

竿竹もまだ大事に持っている。
何年経っても新品同様、まだきれいだ。

きれいなのは、
使っていないからではありません。
毎年、春と秋に脱皮するから。