出歩いてはいけないのだよ、チミ。
昨日の改元と同時に
帝都に戒厳令が敷かれたのを
知らんとは言わせんぞ。
はい、知りません。
この不届き者がっ!
畏れ多くも御賜のサーベルで
成敗してくれるわ。
どうぞご自由に。
妖刀村正でもあるまいに。
そのフィクションづらさげておいて、
笑止千万、千客万来、来来軒。
このォ、身分も弁えず…。
愚弄するにも程がある、むむぅ…。
覚悟-っ!!
首が地に転がった。
転がった首は八つ、
ゴロンゴロンと転がりだした。
同じ顔、同じ断末魔の形相をした首が
憲兵の脇をゴロゴロと転がって
通り過ぎていった。
……以来、この怪異が巷間に流布し、
やがてこの界隈は八首坂と
呼ばれるようになった。
ご存じのとおり、ここは昔から平坦で
付近にも坂や丘などもない土地柄。
平成の御世に至るまで坂と呼ばれ、
ご丁寧なことに、すぐ北側に坂上、
南には坂下という地名まで残っている。
折しも、間もなく改元を迎える。
自衛隊急進派によるクーデター、
戒厳令、
キレやすい警官、
法も掟も関知せず徘徊する若者など、
コンディションが整い、
キャスト陣が揃いさえすれば、
あの身の毛もよだつ怪異が
間違いなく再現されよう。
いや、相違はあるにはある。
キレやすい警官にはサーベルがない。
拳銃で若者を何発撃とうが
首を落とすことなどできまい。
代役を立てねばなりません。
血に飢えたサーベルと、憲兵の制服。
当家に伝わる品を進呈する。
もうひとつの間違い。
それは八首坂の名が
九首坂に変わるということ。
九つ目の首だけ、
八首セットの顔とは違う顔。
そう、お気づきのように
数年後のあなたの顔。
長々とここまで、
このクソつまんねー駄文を
根気よくお読みいただいた
貴兄に敬意を表し、
謹んで当怪異譚のエンディングシーンに
キャスティングさせていただきます。
昨日の改元と同時に
帝都に戒厳令が敷かれたのを
知らんとは言わせんぞ。
はい、知りません。
この不届き者がっ!
畏れ多くも御賜のサーベルで
成敗してくれるわ。
どうぞご自由に。
妖刀村正でもあるまいに。
そのフィクションづらさげておいて、
笑止千万、千客万来、来来軒。
このォ、身分も弁えず…。
愚弄するにも程がある、むむぅ…。
覚悟-っ!!
首が地に転がった。
転がった首は八つ、
ゴロンゴロンと転がりだした。
同じ顔、同じ断末魔の形相をした首が
憲兵の脇をゴロゴロと転がって
通り過ぎていった。
……以来、この怪異が巷間に流布し、
やがてこの界隈は八首坂と
呼ばれるようになった。
ご存じのとおり、ここは昔から平坦で
付近にも坂や丘などもない土地柄。
平成の御世に至るまで坂と呼ばれ、
ご丁寧なことに、すぐ北側に坂上、
南には坂下という地名まで残っている。
折しも、間もなく改元を迎える。
自衛隊急進派によるクーデター、
戒厳令、
キレやすい警官、
法も掟も関知せず徘徊する若者など、
コンディションが整い、
キャスト陣が揃いさえすれば、
あの身の毛もよだつ怪異が
間違いなく再現されよう。
いや、相違はあるにはある。
キレやすい警官にはサーベルがない。
拳銃で若者を何発撃とうが
首を落とすことなどできまい。
代役を立てねばなりません。
血に飢えたサーベルと、憲兵の制服。
当家に伝わる品を進呈する。
もうひとつの間違い。
それは八首坂の名が
九首坂に変わるということ。
九つ目の首だけ、
八首セットの顔とは違う顔。
そう、お気づきのように
数年後のあなたの顔。
長々とここまで、
このクソつまんねー駄文を
根気よくお読みいただいた
貴兄に敬意を表し、
謹んで当怪異譚のエンディングシーンに
キャスティングさせていただきます。