本屋の雑誌コーナーで

目をつむって手にとったのが

たまたまボルダリング雑誌になるまで

何度も繰り返していたら

閉店時間近くに吉田羊似の店員が

「お客様、お目当ての雑誌、ウチには置いてません」

と教えてくれた。



こいつ、テレパシー使えるのか?

目当ての雑誌が何か、分かるのか?



俺が上田一そっくりで

自分が吉田羊そっくりだからって

決めつけるんじゃねえ。

そう吐き捨てて本屋を出た。




俺が上田一似なのを再確認するため

腹も減ったことだし

中華料理屋に入って

「いつもの」とオーダーした。


ここのオヤジもちょうどサンドの富澤似で

あのパターンでくるなら

「いつもの?」と聞き返すはず。


あるいは

あのパターンを上書きして

何事もなく酢豚定食を出してくるか?


さすがは富澤似のオヤジ

ボルダリング雑誌を出してきた。

「今月号はまだ入れてないんだ。先月号でカンベンな」

と神対応。

本屋を改めて探し回る必要もなくなった。



だが……

俺自身はともかく

あのキャラの上田一のほうは

もう常連になったということなのか?

上田一がココリコ田中の代役をやる

パターンは見たが

そのパターンはまだ知らない。