ンなこと知るかーっ!!

地下道に怒号が響き渡った。

パン、パンッ!

直後に銃声が2発。

撃った男は逃げ、相手の男も追いかけて走り去った。

だが、近くに倒れている人がいた。

買物袋を手にした女性だった。

袋から玉ねぎが転がり出ていた。

救急隊が到着し、担架で運ばれていった。
警察の現場検証も始まった。

レジ袋を覗き込んだ刑事が怪訝な顔をした。

残っていた玉ねぎやニンジン、じゃがいもが取り出され、最後に拳銃が出てきた。

刑事がどっと集まった。

ゴゴーン!

爆音が鳴り響いた。

銃声などではなかった。

刑事、制服警官が5~6人倒れていた。

ウチの店に聞き込みに来ていた刑事が駆けていった。

とにかくシャッターを閉めて、ここの商店会の世話役のところに行こう。

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…なんということだ、担架で運ばれていったのが世話役の娘さんだったとは!

私が行くと、ちょうど病院から連絡があったようだ。

世話役もそのカミさんも取り乱し、当然、私の出る幕ではない。

帰ろうとすると、世話役が首を括ろうとしたらしく、カミさんが必死で止めるのが聞こえた。
「アンタが死んだって、あの子は戻ってこないわよ!」
「そういうことで死ぬわけじゃないんだ、離せーっ!」

こうなっては黙って帰るわけにはいかない。

「伊勢屋さん、わけはともかく、やめてください! とにかく落ち着いてください!」

高齢のわりに力が強いので、ひと苦労だった。

「宇治屋さん、ちょっと相談がある」

警察や病院、葬儀など娘さんのことが済んでから頼む、ということだった。ひとまずは安心、少なくともそれまでは自殺などしないだろう。