パソコンが

ハワイから

ヤシの実と一緒に

浜に流れついた。

泣けてくる。

どうして?

どうやって?

よくここまで!



ちゃんと起動するし、

ちゃんとアップデートもかけてある。

先週あたりに提供された更新プログラムやセキュリティソフト、アプリケーションのアップデートも。

途中、貨物船や漁船の乗組員に拾われ、
しっかりメンテナンスしてもらったのだろう。



そこで旅をおしまいにできただろうに、
なぜまた大海原に出た。

なぜ俺のところに戻ってくる。

ハワイで俺が捨てたパソコン。

ちゃんとメンテナンスしてくれる新しい持ち主にいくたびも出会っただろうに。



ハワイのビーチでサンオイルを塗る前に波間へと捨てたパソコン。

伊豆の浜で俺はもう一度捨てることができるだろうか。



荒波に揉まれても、マジックで書いておいたユーザー名とパスワードが消えずに残っている。

やっぱり俺のパソコンか。

途中でメンテナンスしてくれた船乗りたちも同じユーザー名とパスワードでログインした。

パソコンは1台、俺が増殖した。

パソコンの持ち主が複数、俺の持ち主も複数。

マイピクチャの中に、いろいろな人種・国籍・年代の俺がパソコンと一緒に写っている画像や動画があった。

みなさん、来月に日本へやって来るというメッセージを残している。

クローン技術に頼らずとも、パソコンをハワイで捨てて伊豆で拾いさえすれば俺が何人にも増えるわけか。

そういえば伊豆半島自体もあっちのほうからやってきてたわけだしなぁ…。

めでたしめでたし~


・コンピュータの名前:tasuke-rareta-Kame
・ユーザー名:uraHawaiisima-tarou
・パスワード:Pandora-no-Hako