どちらかと言えば…

フランス人のくせにフランスに行ったこともなければ、フランス語も話せないオーギュストが旅行本をめくりながらつぶやいた。
父親も母親もフランス人だが、彼が物心つくまえに母親が日本人と再婚し、ずっと日本から一歩も出ず、日本語&英語メイン外来語の言語環境でずっと暮らしてきた。
レシピとかプチとかマルシェとかありふれたフランス語は知っているが、それがフランス語だと知ったのは最近のことだという。
初対面の相手には、Parisをパリスと読んだことさえある、という自虐ネタをかましてウケをとる。もちろん、これは日本国籍だがどうみても外国人のお笑い芸人のネタを踏襲したもの。相手のリアクションに応じて、このことも話の尾鰭として乗せてくる。