ひとつのジャンルは時計。もう一つが問題だった。

コレクションルームはちょっとした博物館ともいえ、国中の同好の士が足を運ぶ。

もう一つのコレクションルームは地下のワイン蔵の奥に作った。
収蔵品は腕時計。
腕つきの腕時計。ディスプレイ用の腕だけのマネキンではなく、生首ならぬ生腕つきの腕時計。暇さえあれば肘から先をぶった切って収集してくる。

同好の士ではないが、ある靴の収集家とはお互いの地下室を行き来している。もちろん彼のコレクションは足つきの靴。
それなら足つきの椅子の収集家はいないものか、趣味の幅を広げてみてはと会う度にけしかけている。

困ったことに、けしかけているうちに本人のほうが椅子と足に興味をそそらるようになっていった。