中谷は肘を使ってなんとかそこから這い出した。
手は、蒲田に送られる前、最初の取り調べで何度も何度も踏みつけられ、骨を砕かれていた。

若い刑事が二人連れてこられ、取り調べの刑事から命じられた。
二人とも、できませんとこたえ、部屋を出ようとしたが、二人を連れてきたもう一人の刑事に阻まれた。
やれ。
できません。
やれ。
できません。
取り調べ刑事が立ち上がり、二人を何度も殴りつけた。
二人とも、わぁーと叫び、泣きじゃくりながら気が狂ったように中谷の手を踏みつけ続けた。

中谷は気を失い、気づいたときには蒲田局と呼ばれる地獄に送致されていた。
夥しい数の薬品と拷問用具らしき器具が並んでいた。
然るべき情報を得られれば、肉と骨を切り刻んだあげく、きれいに溶かして処理するのだろう。