荒れ模様の空、鈍い色の雲がのしかかっている。野を吹きわたる風は立ち枯れた木々を揺らす。
寒々しい荒野だが、ここを訪れるのはもう20回ほどになる。
時折吹きつける突風に体をもっていかれたり、草に足をとられたりしながら、歩き続ける。
行く手にやっと巨大な凹地が見えてきた。待望の湯けむりも立ちのぼっている。
硫黄のにおいも風に乗ってきた。
荒野の果てにある秘湯まであとひと息だ。
…なにかよからぬ予感がする。
実際、硫黄のにおいがいつもとは違うようだ。