朝の気配が明かり採りから差し込んでいるのが見えた。
今日この光を見ることはないはずだった。昨日朝には切腹する定めだったところ、急に差し止めとされた。
介錯人が刀を浄めているとき、奥から役人が出てきて奉行に長々と耳打ちをしたのだった。
沙汰を待て。
そう言い残し、奉行は奥へ入っていった。
今朝になるまで、事情は一切知らされていない。切腹が中止とは尋常ではない。
御上のほうで大事が起こったのか。そうだとすれば今のところ平仄はあう。
そもそも、鴻之介が切腹をしなければならなくなったのは……。
今日この光を見ることはないはずだった。昨日朝には切腹する定めだったところ、急に差し止めとされた。
介錯人が刀を浄めているとき、奥から役人が出てきて奉行に長々と耳打ちをしたのだった。
沙汰を待て。
そう言い残し、奉行は奥へ入っていった。
今朝になるまで、事情は一切知らされていない。切腹が中止とは尋常ではない。
御上のほうで大事が起こったのか。そうだとすれば今のところ平仄はあう。
そもそも、鴻之介が切腹をしなければならなくなったのは……。