謎のメモは謎でも何でもなかった。
あるシャモニの岩壁にきざまれていたフレーズだった。あのガストン・レビュファ氏が発見したいたずらだった。
それなら、彼の行方もシャモニか。
だが何故、急にシャモニまでいたずらを見物に行ったのか、それはまだ謎だった。
もしかしたら、いたずらを刻んだ犯人を探すためか…。探し当てたとして、どうしようというのか。
とにもかくにも、ジュネーブに飛び、ルクセンブルクのライトンと落ち合う手はずにした。
ライトンは学生時代にいずれも夏期で二人パーティーを組んでのことだが三大北壁を制覇した経歴の持ち主。丹沢や秩父の沢登り程度の経験しかない自分でもフレーズのきざまれた所まで連れて行くと請け合ってくれた。
だが念のためと翌日朝早くに近くの壁でトレーニングをさせられた。