リムイール開削に動員された労働者は5万人か……。
カナームは改めて今回の工事の難しさを痛感した。
ノグドには3万人しか投入できないとシャムナッド宰相から言われた。リムイールが5万ならノグドは6万だと突っぱねるつもりだった。なにしろ、リムイールは山麓部から砂漠だったのに対し、ノグドは渓谷だ。しかも3年前に起きた反乱の首謀者たちの出身地でもあった。
こちらの怪訝な表情を読み取ったのか、シャムナッドは言葉を継いだ。
ノグドはもとから流路がついておるゆえリムイールより楽であろう。3万で足りなければ現地の反乱予備軍から徴発すればよかろう。陛下はそう仰せである。
御意。
極力感情を抑えたつもりだったが声が震えてしまった。
部屋に戻り、副官にはとりあえず3万だと伝える。
反乱予備軍から徴発だと、冗談にもほどがある。
カナームは声を押し殺して執務室の机を叩いた。
腰掛ける間もなく、副官から宰相の秘書官ラージムの来訪を告げられた。
カナーム、閣下からの助言だ。
互いに気をゆるせる同郷人ならではのタイミングでフォローを入れてくれる。
開削は真面目にやるな。真面目にやっている振りだけしろ、と仰せだ。
どういうことだ。
カナームは改めて今回の工事の難しさを痛感した。
ノグドには3万人しか投入できないとシャムナッド宰相から言われた。リムイールが5万ならノグドは6万だと突っぱねるつもりだった。なにしろ、リムイールは山麓部から砂漠だったのに対し、ノグドは渓谷だ。しかも3年前に起きた反乱の首謀者たちの出身地でもあった。
こちらの怪訝な表情を読み取ったのか、シャムナッドは言葉を継いだ。
ノグドはもとから流路がついておるゆえリムイールより楽であろう。3万で足りなければ現地の反乱予備軍から徴発すればよかろう。陛下はそう仰せである。
御意。
極力感情を抑えたつもりだったが声が震えてしまった。
部屋に戻り、副官にはとりあえず3万だと伝える。
反乱予備軍から徴発だと、冗談にもほどがある。
カナームは声を押し殺して執務室の机を叩いた。
腰掛ける間もなく、副官から宰相の秘書官ラージムの来訪を告げられた。
カナーム、閣下からの助言だ。
互いに気をゆるせる同郷人ならではのタイミングでフォローを入れてくれる。
開削は真面目にやるな。真面目にやっている振りだけしろ、と仰せだ。
どういうことだ。