話を聞いたどの研究者も実在しない物質名だと口を揃えて言った。
そのうちの一人、薬理学の権威という東京医薬大学の塩野教授は、さすがに注目すべき情報を教えてくれた。
実在しないとは言い切れないだけで、理論上は合成できることになっていると。だから、どこかのラボで合成されているが発表していないだけの可能性は十分ある。
しかも、その合成に成功したと聞いたら、悔しがる研究者たちは世界中に山ほどいるほどの代物らしい。
俺は、インターフェロモンみたいなものか、と山内の耳元で聞いた。
インターフェロモンじゃなくてインターフェロンですよ。
はははは、そう、インターフェロンみたいなものですよ。話題性や生理学的な働きも世間の耳目に届いている薬品でいったら、あながち間違っていないでしょう。
大先生にも聞こえたらしく、ド素人の俺をフォローしてくれた。