期待はしていなかったが、第一犯行の指紋はストックにヒットしなかった。

遺棄された遺体からの指紋検出は不可能だった。DNAも、まだ数人分しか試みていないらしいが、特殊な化学物質で分解されてしまっているという。なんとかキナーゼとかいう酵素でDNAをバラバラにできるらしい。

第一第二の模倣犯の指紋も本来のホシと同一人物だという可能性が、考えたくないが、まだある。警察への挑戦というより、おちょくられているわけだ。後続するつもりの模倣犯さえドン引きさせてしまったのかもしれん。逆に今にも第三の模倣犯を装った犯行が行われるのではないか、という胸騒ぎがする。
いや、コイツなら俺たちがすべて同一犯同一グループだという見方を固めつつある段階と踏んで、このタイミングで犯行声明かメッセージを何らかのかたちで出しかねない。

…だが数日間、犯人側に何も動きはなかった。